シン・ゴジラ 良かったんだけど...

シン・ゴジラ 見てきた。

本編開始前にクッソ陳腐な映画の予告編を半ば強制的に見せられたのはものすごい苦痛だったが、本編はめちゃめちゃ面白かった。

この映画って、やっぱりとっても語りたくなる映画なので、語る。

うろ覚えな記憶を基に語っているので間違いはいくつかあると思うけど、語る。

 

まず、邦画お決まりの糞寒いテンプレが少なかったのがとても良い。

デモに対してノーリアクションで眠り続けたり、

総理一行の死を知らされても誰一人瞳孔開いてプルプルしながら「嘘だろ...」って呟かなかったり、

馬鹿でもわかる綺麗事をピアノアレンジBGMをバックに叫ぶ奴が一人もいなかったり、

一人がセリフ喋ってる間に他の人間が棒立ちじゃなかったり、

etcetc...

 

冒頭のシーンで、海に赤い液体が浮いているっていう描写もとても気持ち悪くて良かった。

その後のしっぽもすごく不気味で良かった。

ゴジラ第一形態の気持ち悪さもすごくツボを突いてくる気持ち悪さだったし、

最終形態での大暴れシーンは本当に絶望的だったし、リアルに描かれた人間や社会がそれに立ち向かう様は本当に素晴らしかった。

 

ただ、概ね良かっただけに、ものすごく残念な箇所が一点あったのが悲しい。

ゴジラの遺伝子数が人間の8倍で、「地球上で最も進化した生き物」って言ってた箇所。

あれは、ないだろう。

遺伝子数と進化度合いの間に関連性がある、というのは創作でありがちなミスの典型例として広く知られているものと思っていたのだが...

仮にこれが「人間の100兆倍の遺伝子数」とか言われたら、私は「人智を超えた生物なんだね!」って理解を放棄して納得してしまうので、そこんとこもう少しぶっ飛んでいて欲しかった。

 

あと小さな残念ポイントを上げるなら、こんな感じ。リアル志向な映画なので、細かい点をあげたらきり無いけど。

・ノーパソでなくて、デスクトップPCでマルチディスプレイで作業する研究者が一人くらい欲しかった(移動に不便なので非現実的だけど)

ゴジラの目を狙って欲しかった

ゴジラが放出した熱量を何かと比較して欲しかった

・冷却液がホースから発射されてゴジラの口の中に入っていく描写が欲しかった

・冷却液を射出する車両は東京駅以外にも多数配置されていたはず。そこを描写して欲しかった

ゴジラの倒れる位置を予測して伝達する描写が欲しかった

ゴジラが凍るシーンでは皮膚を薄青くして氷っぽさを演出する必要はなかった

ゴジラの体温が下がっていくシーンをサーモグラフで見たかった

他にもいくつかあった気がするけど忘れた。

 

あと個人的には石原さとみがすごく要らなかったんだけど、最低限の華がないといけないのだろうし、最後のシーンが無いと映画的に締まらないので仕方がないのかな。他にもっとうまく演じてくれる人はいる気がするのだけど。

ただ少なくとも、

ゴジラ、まさに神の化身ね...」(うろ覚え)

は要らない。絶対要らない。

あれはこの映画に組み込まれた数少ない糞寒邦画テンプレセリフだった。

 

ちなみに一番好きなセリフは

「動くの!?」

「そりゃ生物ですから」